Straight Travel えほん

アームストロング

『アームストロング』 トーベン・クールマン 作 金原瑞人 訳 ブロンズ新社



小さなネズミが宇宙へ飛んだ!夜ごと天体望遠鏡をのぞく小ネズミは、月は地球をまわる衛星だと発見。しかし、月はでっかいチーズと信じるネズミたちはとりあいません。そこへスミソニアン博物館から手紙がとどきます。NY発→月面の冒険物語。

前作『リンドバーグ』で映画のような美しさでうっとりさせてくれたトーベン・クールマンの絵本。
次に挑むのは月!
インク瓶で宇宙服をこしらえ、めざまし時計で宇宙船をこしらえ、いざ宇宙へ。
ニール・アームストロングが月に初めておりたったとき、先にネズミの旗が立っていた!?というトップシークレットを知ることができます(笑)

前作リンドバーグで大西洋を横断したネズミが、宇宙行きを応援する共演もニクいです。

スポンサーサイト

もりのようふくや

『もりのようふくや』 オクターフ・バンク=ヤシ 文 エウゲーニー・M・ラチョフ 絵 うちだりさこ 訳 福音館書店



おじさんは5つのぼうやの誕生日のために、森の洋服屋に上着をたのみにいきます。

そこは襟を縫う名人のハリネズミ。
ポケットを縫わせたら一番のオオカミ。
袖にかけては誰にも負けないクマ。
ボタンつけの名人のウサギ。
誰よりも素敵に裏地を付けるアナグマ
の5匹がいる洋服屋。

「いちばんきれいで丈夫で体にぴったり、おまけにお値段は大勉強」のお店。
おじさんは上着にあれこれ注文をつけますが、どれも断られ、結局上着は作れなくなってしまいます。

おじさんは森の洋服屋を「てんでダメ!」とくさしますが、おじさんの要求が法外すぎるのよね…。

ロシアの絵本。絵は名作『てぶくろ』と同じエウゲーニー・M・ラチョフです。

ウミガメものがたり

『ウミガメものがたり』 鈴木まもる 作・絵 童心社



だれもいない夏の夜のすなはま。海の中からなにかがやってきました。ウミガメのお母さんがたまごを生みにきたのです。生まれた子ガメたちは、ちいさなひれをパタパタさせて、あかるいほうをめざしてゆきます。そのさきにはひろいひろい海があるのです。壮大な自然の旅のはじまりです。日本から一万キロはなれたカリフォルニアをめざして。厳しくも豊かな自然を生きるウミガメの成長を描いた物語。

ゆったりと泳ぐ表紙のウミガメの姿、海のトルコブルーに魅せられます。

ウミガメのお母さんは夏の夜に卵を産み、赤ちゃんウミガメたちは孵化後、海へと向かいます。無事に海へはいれても体調5センチのコガメを狙う魚も鳥もいます。コガメは浮いている海草などに隠れながら、エビや魚の卵を食べて大きくなりながら、1万キロはなれたカリフォルニア近海まで向かいます。

写実的な絵本なのですが、クラゲを「あぐっ」とたいらげる様子や、タコに墨をかけられて「あちゃー」とする表情など、カメの気持ちが伝わってくるような絵本です。

青や紫、エメラルドグリーン、とにかく海の表情が多彩で美しい!しばしの水底への旅へご招待。
海が好き、生き物が好きな子におすすめの絵本です。

スニッピーとスナッピー

『スニッピーとスナッピー』ワンダ・ガアグ 文・絵 さくまゆみこ 訳 あすなろ書房



原っぱのすみっこにある巣穴でくらしていたスニッピーとスナッピー。ある日毛糸玉で遊んでいると、玉がころがっていってしまいます。79年岩波書店刊「すにっぴいとすなっぴい」をさくまゆみこさんの新訳で。

モノクロの横長の絵本がワンダ・ガアグらしい一冊。
原っぱで暮らす、のねずみの女の子スニッピーと、のねずみの男の子スナッピー。
二匹は転がる毛糸球を追って、人の家を発見し、そこに入り込みます。

「のぼってのぼってまたまたおりて」や、
「たったかたったか」などのリズムが読んでいて心地よく、名訳です。

二匹が人間の家の家具を見て、椅子を木だと思ったり、モップを草だと思ったりする様子が面白いです。

危うくねずみとりにかかりそうになる二匹ですが、お父さんが助けてくれます。
「チーズあれば、われもまたそこにあり」とかっこよくキメるお父さんが笑える。

ほのぼのとした、アメリカの古典絵本です。

転んでも、大丈夫

『転んでも、大丈夫 ぼくが義足を作る理由 』 臼井二美男 作 ポプラ社



「あきらめない」を手助けしたい。
義足づくりの現場に飛び込んだきっかけから、仕事をするなかでの苦悩、試行錯誤、そして、数々の困難を乗り越えて、義足の選手がパラリンピックに出場するようになるまでの過程をていねいにえがく。
パラリンピック5大会連続出場鈴木徹氏を始め、臼井氏によって人生を前向きに生きられるようになった、さまざまな義足アスリートの声も収録。


本書は今年度の夏の課題図書にもなっていました。

スポーツ義肢制作の第一人者で、パラリンピックの選手サポートもしている臼井さんによる初めての著書です。

切断されて残った足は、長さも傷の状態も人それぞれ。そのため、全ての義足は一点一点、義肢装具士による手づくりなのだそうです。つくった義足もすぐに足に合うわけではないので、細かく調整をしていきます。できた義足も2~3年に一度は交換。子どもの場合は成長にあわせて何度も作り直すそうです。
やりがいのある誇らしい仕事ですが、同時に、大変なお仕事だとも感じます!

義足の人は、自分の本音を口に出すのはとても珍しいのだそうです。
「義足なのにこんなことをいったら、わがままだと思われるかもしれない」と思ってしまうのだそうです。だから義肢装具士としての技術を磨くことはもちろんですが、患者さんがなんでも話しやすい雰囲気を作るよう、臼井さんはコミュニケーションをとても大切にしているのだそう。
大隈重信が義足だったという話は、この本を読んで初めて知りました。

臼井さんが企画した義足ランナーの練習会「ヘルスエンジェルス」は始めは数人でしたが、今では60人を超える大きなチームになっているのだそうです。ヘルスエンジェルスの練習会では転んでも手をかさず、起き上がり方を学ぶのも練習のひとつ。

「転んでも大丈夫」
そう思えるようになると、走り出す勇気がわいてきます。


後半のパラリンピックのことについては、2020年の開催が近づいているため、より興味をもって読みました。
障害者スポーツ選手の多くは、働きながら競技をしており、働くところがあればまだいい方で、それさえ見つからない選手が少なくない中、練習にかかる費用、試合で海外に行く遠征費はすべて自己負担。競技の才能だけでなく、環境を整える難しさを感じました。

臼井さんのめざすことは「義足に血がかようまで」本物と同じような義足をつくること。
言葉では簡単でも、実際には至難の技。でも理想を追うことはやめたくないのだそうです。

パラリンピックや、障害者の方の生活を支えている義肢装具士。この本を読んで、その仕事を知ることができて、とても良かったです。

理系アナ桝太一の生物部な毎日

『理系アナ桝太一の生物部な毎日』 桝太一著 岩波ジュニア新書



人気No.1アナ桝太一。そのまじめで誠実な人柄に隠された素顔は、無類の生物オタクだった! 仲間たちとフィールドを飛び回ってチョウを追いかけた中高時代。潮にまみれ、船酔いに悩みながらアサリやアナゴと格闘した学生時代。生き物とともに遊び、学び、成長してきた理系アナが、その魅力を存分に語る「ムシ熱い」青春記。

朝の情報番組は何をみていますか?NHKニュース?めざまし?
我が家は日テレのZIP派!
娘たちも大好きな桝アナウンサーが本を出していると知り、手に取りました。

さわやかなイケメンのイメージとうらはらに、中高一貫・男子校の麻布学園時代は生物部に所属。地道にコツコツと有栖川宮記念公園の樹木を数え、虫取りにあけくれた学生時代。東大に進んでからは海の生物に魅せられ、アナゴを研究、そして院時代はアサリを研究。子アサリをつかまえ、殻の成長線をかぞえる作業を毎月毎月、酷暑の夏も極寒の冬も雨の日も…。

朝早く始まる番組を毎日つづける体力や気力は、こんな地道で粘り強い人柄からきているのか!と思いました。華やかな世界にいる人気アナウンサーだけに、びっくりです。生物大好き!エピソードのほかにも、アナウンサーになってからのこぼれ話もあります。中のイラストも全部桝さんの手によるものです。カワイイ。

このあいだになにがあった?

『このあいだになにがあった?』 佐藤雅彦+ユーフラテス 作 福音館書店



「毛がもこもこの羊」と「短い毛の羊」の写真が並んでいます。2枚の写真の間には、どんなことがあったでしょう?

並んだ2枚の写真から、間に起こった出来事を推理する絵本。

おたまじゃくしとカエル。
万国旗をつけた船と、空っぽのドッグ。
右を向いた人たちと、左を向いた人たち…。

どれも類似の問題がなくて、面白いです。難しさのレベルとしては、幼稚園~小学校低学年くらい向けかな。

同著者の絵本は、お勉強的なものではなく、「かんがえる」 を楽しめるおすすめの本です。ほかにも二冊紹介します。

『中をそうぞうしてみよ』



『ぴったりはまるの本』

十歳のきみへ

『十歳のきみへ -九十五歳のわたしから』 日野原重明 作 冨山房インターナショナル



いのちとは家族とは人間とは。若いきみたちに託したいこと。かつて十歳だったあなたにもぜひ読んでほしい。はじめての子ども向けメッセージ。

今年の7月にお亡くなりなった日野原先生(享年105歳)が、95歳の時に書かれた本です。私は未読ですが、その後103歳のときに「明日をつくる十歳のきみへ」という本も出されたそうです。

いのちとは時間のことである。生きた時間と死んだ時間がある。
人のために時間をつかうこころがけをしよう。
十歳だったころの日野原先生はどんな少年だったの?
家族のなかではぐくまれるもの。
大学生の時に結核をわずらったときの経験。
世界で戦争をしている国があることについて。

生きること、人と関わり合うことなど、とても大切なことが、10歳の子にもわかるように平易な言葉で書かれています。
私も親でありながらなかなか表現力が足りず、いつも起きた問題への対処法ばかりで、子どもに根本的なことが伝えられていないと思うことが多いのですが、こういう本を読んで、親子で話ができるのはいいなぁと思います。10歳の子だけでなく、親にもオススメの本です。

いのちのひろがり

『いのちのひろがり』 中村桂子 文 松岡達英 絵 福音館書店



庭にいるアリとわたしたち人間は仲間です。魚も、草や木も、キノコやコケ、細菌も、すべて仲間です。なぜかといえば、地球上にいるすべての生きものたちのはじまりは、もともと38億年前に生まれた、ひとつの細胞だからです。つぎつぎと仲間を生み出しながら、わたしたちへ受けわたされてきた「いのち」の物語を描きます。

生物学者であり、JT生命誌研究館館長の中村桂子さんの絵本。
著者はキッチンに迷い込んできたアリを殺しません。それは背後にある38億年を感じるから。

今地球上にある生き物はみんな「細胞」でできている。
今わかっているなかで、地球上に生き物がいたと確認されているのは38億年前。
ひとつの細胞があり、細胞が集まり、カイメンになり、カイなどの祖先が生まれ、魚が生まれます。
初めて生き物が陸に進出したのは藻。植物が生まれ、やがて動物たちも上陸していきます。

地球の上で生き物がたどってきた長い長い道のりを感じ取れる絵本。
松岡さんの絵も写実的でありながら、図鑑ぽい冷たさがなく、生き生きとしてとても美しいです。

付録に「大陸移動マトリョーシカ」がついている遊び心も良いです。ジュラ紀の日本列島が、大陸にくっついています!

ぼくのだいすきなケニアの村

『ぼくのだいすきなケニアの村』 ケリー・クネイン 文 アナ・フアン 絵 小島希里(きり) 訳 BL出版



にわとりがないている。さあ、おきよう。おかあさんのこやにいって、「ホジ?」と声をかけたら「カリブ!」と元気な声がかえってきました。さあ、一日のはじまりです。あなたもいっしょに、ケニアの村の一日をのぞいてみてください。ケニアでくらすカレンジン人の少年の一日を描いた作品。

ケニアの暮らしが美しい色彩で楽しめる一冊。村人たちが交わすスワヒリ語の挨拶が新鮮です。

「ぼく」は牛の放牧の見張りを任されていたのですが、本人は「ちょっとだけ」のつもりで村中をまわっているうちに、牛がいなくなってしまいます。焦るぼくですが、じいちゃんがぼくの代りに牛を連れて家に戻ろうとしていました。反省するぼくと、静かにうけとめるじいちゃんの姿が印象的です。

家族同士で近くで暮らし、自分の部屋ではなく自分の小屋に住んでいるということや、マジーワ・ララという牛乳を発酵させた子どもたちが大好きな飲み物など、日本にはない風物がたくさん描かれている、異国情緒たっぷりの絵本です。