Straight Travel えほん

ココとリトル・ブラック・ドレス

『ココとリトル・ブラック・ドレス』 アンネマリー・ファン・ハーリンゲン 作 川原あかね訳 文化出版局



ココ・シャネルの半生を追いながら、シャネルのファッションアイコンのひとつである「リトル・ブラック・ドレス」が誕生するまでのストーリーを、おしゃれなイラストとともにつづります。大人はもちろん、子どもも楽しめる一冊です。

シャネルの5番のボトルをかたどった表紙がおしゃれな絵本。
デザイナー、ココ・シャネルの半生をつづった自伝絵本です。孤児院で育ったこと、帽子から人気が始まったことなど、初めて知ることばかりでした。

前見開きがドレスの型紙、後ろ見開きがドレスの絵になっています。
色数をしぼった、イラストのような絵が軽やか。

ハイ・ブランドを扱った子どもの本では、こちらもおすすめ。
あのポール・ギャリコ作。『ハリスおばさんパリへ行く』。
クリスチャン・ディオールのドレスがモチーフになっています。

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かたあしだちょうのエルフ

『かたあしだちょうのエルフ』 おのきがく 絵・文 ポプラ社



エルフはわかくてつよくてすばらしく大きなおすのだちょうです。なにしろ、ひといきで千メートルもはしったことがあったくらいです。それでみんなは、エルフ、エルフとよぶようになったのだそうです。エルフとはアフリカのことばで、千のことです。ある日、ライオンとたたかって片足をなくしたエルフは、食べ物を探すのにも苦労し、次第に体が弱ってきます。しかしエルフは草原の子どもたちを守って、黒ひょうとたたかい、永遠に木になってのこります。

優れたダチョウだったエルフ。しかしエルフはそのことを少しも鼻にかけず、子どもたちを可愛がっていました。ある日ライオンと闘ったエルフは片足を失くします。始めはみなエルフにエサを分けていましたが、みんな自分たちの家族だけでもカツカツの状況の中、エルフは次第に忘れられていきます。そんなエルフの心の支えは、子どもたちが遊ぶ声を聴くことだけでした。ある日草原に黒ヒョウが現れます。エルフは逃げ遅れた子供たちを守るため、背中に子どもたちを乗せ、片足で黒ヒョウと闘います。

二本足で軽やかに走っていた時も、一本足で弱っていた時も、変わらないエルフの優しさと誇り高さに思わず涙が出てしまう一冊。
まるで昔ばなしのような話ですが、おのきがくさんの創作したお話です。版画にとても迫力があります。

にっぽんのおやつ

『にっぽんのおやつ』 白央篤司(はくおう・あつし)作 理論社



各地の人々の声をたよりに、47都道府県のおやつめぐりをしてみました。新潟の笹団子、愛知の鬼まんじゅう、大阪のたこ焼きなどなど。大きな写真は迫力満点。夕ご飯が食べられなくならないようにご注意ください

47都道府県のおやつを集めた本。といっても郷土銘菓、おみやげ的なものではなく、本当に地元民が食べているおやつ。

高知のぼうしパン、群馬の焼きまんじゅう。甘いものもしょっぱいものも、食べでのあるものも、お茶うけも。
個人的に初めて知ったのは、山ぶどうのお菓子、秋田のさなづら。一度食べてみたいな。
滋賀の「たくあん漬けをマヨネーズで和えてパンにはさんだ」サラダパンには仰天しました。

みんなでワイワイのぞいてしゃべって、盛り上がれる写真集です。
シリーズで『にっぽんのおにぎり』や『にっぽんのおかず』もあります。

嵐にいななく

『嵐にいななく』 L.S.マシューズ 作 三辺律子 訳 小学館



嵐が町をひとのみにしてしまったあとで、少年は、新しい土地へと引っ越した。不安を抱えた少年は、その町で一頭のみすぼらしい馬と出会った。悲劇を生き抜く強さを教えてくれる、少年と馬の再生と自立の物語。

主人公ジャックの町は水にのまれ、ジャックの家族は引っ越します。隣人は足の悪いマイケルとその姉。ジャックは配達の馬を触るのが好きで、マイケルとも、その馬をきっかけに知り合います。ジャックと仲良くなることでマイケルは外に出るようになり、ジャックもマイケルに字を習い、ふたりは仲良くなります。あるきっかけでふたりは馬を手に入れることになり、その馬を使役馬に育てるべく、ふたりは奮闘します。

作中に俳優ジャン・クロード・バンダムの名前が出てきたりして、現実の世界と地続きなのかな?と思いきや、ふたりの住む世界は近未来SF、自然災害や人災によって、生き物の住む場所が少なくなってしまった世界。動物をペットとして飼う贅沢は許されず、仕事ができない動物は処分されてしまいます。資源が少ない中で、古い本を頼りにふたりは馬・バンの調教方法を手探りします。作者のマシューズさん自身も馬の訓練を手掛けているそうで、馬の描写がリアルです。

不穏な世界観にもひきこまれますが、この物語にはある仕掛けがあり、私も「あっ」と意表をつかれました。こういう意欲的な作品、好きです!マシューズさんのほかの作品も、是非読んでみたいと思います。

靴を売るシンデレラ

『靴を売るシンデレラ』 ジョーン・バウアー 作 小学館



全国有名靴チェーン店でアルバイトしているジェナは、天才的センスで靴を売るスーパー店員。ある日、オーナーの運転手となりアメリカ全土を回ることになります。オーナーとのドライブで、彼女がつかんだものは。

原題は「Rules of the Road(交通規則)」。免許とりたてでおっかなびっくり運転するジェナが「人生にも交通標識があったらラクなのに」と考える場面が印象的です。

ジェナの家族はアル中の父に始まり、いつも忙しい母、苦労しらずの妹、アルツハイマーが進む祖母、と問題山積。
でも靴がすき、靴を売るのが大好き!というジェナの情熱に元気がもらえる本です。現代のシンデレラは靴(チャンス)は自分で手にするのだ!

「忙しくても自分は大切に扱われていると、どのお客にも感じてもらわなければならない。」

「足は体のなかで、人目をひくところというわけではないけれど、いちばん大事な部分のひとつだよね?そういう足のために、あたしはひざまずく。」


靴に限らずセールスのエッセンスがこの本の中にはあふれています。

商売倫理をばかにして利益一番を掲げる副社長のエルデンは、ちょっと戯画化されすぎていると思いましたが、確かに「高品質を適正な値段で」よりは、「そこそこのものを安く」のプチプラを、今多くの人が求めているのは事実だし、私も利用します。
でも世界中の店がそういう大手チェーンだけになってしまったら・・・、本当につまらない。

そういう風潮にあらがって「あたって砕けろ」で立ち向かう社長、ハリー、そしてジェナの姿、がぜん応援してしまいます。

「人生に立ちはだかる問題が、あたしたちを成長させたり壊したりするわけではない。その問題に立ち向かう術をどうやって学ぶか、それが人生を変えるのだ。」

円周率の謎を追う

『円周率の謎を追う』 鳴海風 作 くもん出版



現代ではあたりまえの円周率“三・一四”が、まだ使われていなかった江戸時代。円に魅せられ、その謎を解こうとした数学者がいた。かれの名は、関孝和。日本独自の数学・和算を、世界に通じるレベルまで高め、死後、算聖とよばれた数学者の生涯を、かれを支えた人々とのつながりの中で描く。

2017年の夏の中学生向け課題図書になっている本書。江戸時代の数学者、関孝和が円周率の謎に挑む様子を題材にした小説です。

当時、和算では『塵劫記(じんこうき)』という中国から伝わった書物にある円周率「3.16」を計算に用いていました。しかし、孝和は、算額を見に行った目黒のお不動さんで、佐賀藩の沢口一之という侍に出会い、「本当の円周率は3.16よりも小さい」という言葉を耳にします。数学の柴村塾で、塾長の娘・香奈と糸でたしかめてみたところ、確かに円周率は3.16より少なそうだということがわかります。円周率とはどのように求めるのか?果たして正しい円周率とは?関孝和は大阪に遊学し、円周率の謎に挑みます。

未知数の多い連立方程式を解く方法のひとつ・行列式の理論、ベルヌーイ数の発見など、西洋の数学に先んじたものがいくつもあった天才・関孝和の業績。数学塾の娘、香奈との淡い恋や、幕府の仕事を務める「御用」と数学研究とを両立させる悩み、数学の定理を解き明かす難しさなど、人間ドラマとして読みやすく描かれている良書です。

ほかに数学にまつわるYA文学にはこんなものもあります。

町娘あきと、関流との算法勝負!『算法少女』



暦づくりのみちのり。本屋大賞を受賞し、映画化もされた『天地明察』。



フェルマーの定理の証明への、3世紀にもわたる数学者たちの熱意の歴史。『フェルマーの最終定理』。

まってる。

『まってる。』 デヴィッド・カリ/セルジュ・ブロック 作 小山薫堂 訳 千倉書房



「お兄ちゃんって呼ばれる日を...」「運命の出会いを...」「戦争が終わるのを...」。人生には様々な「まってる。」が待っています。かわいらしいイラストと、深く印象的な言葉でつづられた、ひとりの男の子の成長と人生。

フランスの絵本。訳者が放送作家の小山薫堂さんというのが変わり種。横長のチケットのような版型が面白いです。

雨がやむのを待つこども。
プロポーズの返事をまつドキドキ。
親との今生での別れ…。

作中の絵は赤い糸のコラージュと、シンプルなペン画で構成され、いろいろな「まってる。」が描かれます。
あなたはどんなものを「まってる。」でしょう?

うちの娘たちは「お父さんが帰るのをまってる!」
私は、「宝くじが当たるのをまってる!」

『砦(とりで)』 モリー・ハンター 作 田中明子 訳 評論社



時代は2000年前のケルト世界。舞台はスコットランド北東の島々。ここに今も残るブロッホという砦に想像力を刺激され、作者が書いたのがこの本です。

主人公コルは18歳の青年。子供の頃、奴隷狩りのローマ人達の襲来を受けて親をなくし、片足が不自由になりました。猪族長のもらい子として暮らし、族長の家の次女ファンドに恋をしています。村では族長のネクタンと、ドルイド(僧侶)のドムナルとの対立が顕在化していました。あまりに犠牲が多いため、戦いを避け、村を分散させようと主張するネクタン。あくまで徹底抗戦すべきだというドムナル。しかし、コルは第三の道、「最大の防御にして攻撃拠点にもなる」砦の建設を夢見ていました。

しかしなんだ、この表紙の、石でできた嶋田久作のような顔は・・・と思ったら、たぶん主人公の18歳の青年・コルの顔。絶対に表紙の怖さとタイトルの地味さで、損をしている本だと思います。

内容は聡明な主人公が砦が建てるまでのいきさつ、マッチョな猪族の族長や、魔法を使うドルイド僧、幼馴染とのひたむきな恋、野心に燃える若い男タランとの確執、幼い時に分かれた弟との兄弟愛・・・など、とてもカラフルで魅力的な物語です。サトクリフが好きな人(私も。)ならきっと好きな作品世界だと思います。ケン・フォレットの『大聖堂』が好きな人もイケルかも。(ちなみに『大聖堂』のドラマ版は、エディ・レッドメインが主役を演じているのが素敵です)300ページの児童書なので、『大聖堂』ほどの壮大なメロドラマ感はないですが、「当時の技術で画期的な建造物を作った」という点が似ています。

特にドルイドの魔法的な「普通ではない」能力が面白いです。是非映画で見てみたいなぁ。主演は嶋田久作さんではなく、イギリス人俳優でお願いします。(笑)

文房具図鑑

『文房具図鑑』 山本健太郎 文・絵 いろは出版



小学6年生の文具愛が爆発!手描き100ページ、類なき衝撃作。その「濃さ」に大人の文房具マニアも絶賛。168アイテムに及ぶ図鑑、ついに書籍化。

(当時)小学校6年の夏の自由研究として提出された文具図鑑を書籍化したもの。1年かけて完成させたというさすがの力作!文具への愛がみっちみち。

「関東ではMONO消しだけど、関西ではレーダーや!」という私も知らなかった知識や、「この鉛筆削り器は削りかすが捨てづらい。」という身もふたもないコメントが面白い。
ページ下部には文房具メーカーからのコメントつきで、そちらも面白いです。健太郎くんにはいきつけの文房具屋さんがあるらしく、その店主からのコメントも。

ロディアの200円のメモ帳を、「メモちょうのわりには高い、そう思った人が何人かいるだろう。」とコメントしており、小学生の金銭感覚を感じてかわいかったです。
・・・と思ったら、裏表紙には「定価3兆円」の文字が!なんだよー、その金銭感覚は!(笑)

いかりのギョーザ

『いかりのギョーザ』 苅田澄子 作 大島妙子 絵 佼成出版社



かわはぱりっ、にくじるがじゅわー。ひみつのほうほうでやきあげる、ブブコさんのとくせいギョーザ。あつあつのところをめしあがれ!

ある日ブタのブブコさんが拾ったフライパン。ブブコさんはギョーザを焼こうとしました。

「火はいらん、火はいらん。
 わしは火がなくてもやける いかりのフライパンや、おぼえとき。」


いかりのフライパンは、焼き手の怒りの炎で、おいしいギョーザを焼くのです。
そしてそのギョーザを食べた人は、あまりのおいしさに怒りの炎もどこへやら…。

一度いかりのギョーザを食べた人はまた食べたくなります。
森中の動物たちを探して、怒りの炎で焼くギョーザ。
そしてとうとう、森には誰も怒っている動物がいなくなってしまいます。

さて、どうやってギョーザを焼きましょう?

フライパンの関西弁が愉快な笑える絵本。「プンプン プリプリ~」と擬音も楽しく、よみきかせにぴったりの絵本です。( ^ω^ )