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古森のひみつ

『古森(ふるもり)のひみつ』 ティーノ・ブッツァーティ 作 川端則子 訳 岩波少年文庫



古森(ふるもり)と呼ばれる小さな美しい森がありました。森をうけついだプローコロ大佐は、妖精の宿るモミの大木に手をかけ、邪魔になった甥を亡き者にしようと企みますが。風のマッテーオや、木の精ベルナルドなど、古森に住まうものたちとの不思議な交わりが、人間の心の真実を照らし出す。

小さいけれど樹齢を重ねたモミの木がしげる「古森」。厳格で皆から嫌われているプローコル大佐。彼の兄モッロが亡くなり、甥の12歳のベンヴェヌートと大佐は2人で森を相続することになります。軍を退役した大佐は、相続した奥谷の屋敷に移り住み、長年見張り役だったカササギを殺し、古森の年を経た赤モミを伐採します。さらに大佐は岩でとじこめられている乱暴者の風マッテーオを解放し、自分に服従を誓わせます。すべての森を手に入れたい大佐は、ある暗い望みをいだきます。

マッテーオが言いました。
「はっきり言ったらどうだ。おれにベンヴェヌートを殺してほしいんだろう?」


ここまでの展開を書くと、大佐=悪役という単純な図式ですが、物語はそのようには運びません。
なぜか。それは「人は変わる」ということ。
それもある激烈な出来事をきっかけに、という変わり方ではなく、水が石を穿つように、静かに、少しずつ、でも確実に。古森の力をもって。

以前は最悪最恐だったマッテーオも年をとること、子どもたちがくるとにぎやかな森の精が、大佐一人が森に足を踏み入れただけで気配を消してしまい、大佐自身の心がひっそりと傷つくこと。誰も友人がいなくてさびしいこと。そして何よりも、それを言葉で表現できないこと。
年老いた大佐がとった、ある行動とは・・・。

北イタリアにあるドロミテ・アルプスの村で生まれ、大人になってからも多くの時間をドロミテの山々に親しんで過ごしたブッツァーティ。本書も、その慣れ親しんだ自然を舞台に書かれているそうです。
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