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エアーマン

『エアーマン』 オーエン・コルファー 作 茅野美ど里 訳 偕成社



アイルランド沖の小さな君主国、ソルティー・アイランズ。少年コナー・ブロークハートは、王の殺害を目撃したことから、口封じにリトル・ソルティー島の監獄へ送られてしまう。少年は2年に及ぶ過酷な牢獄ぐらしを生きのび、いま真犯人に復讐を果たすべく、黒い翼の『エアーマン』となる。

『アルテミス・ファウル』シリーズで知られるアイルランドの作家、オーエン・コルファーが描く冒険小説。著者はもともと作家になる前に小学校の先生を15年間しており、その経験から、女子生徒より男子生徒を読書にいざなうことが難しいと感じ、物語を書き始めたそうです。日本でいうとはやみねかおるさんみたいですね。

主人公はコナー・ブロークハート。母親が気球に乗っているときに産気づき、気球の中で生まれたという驚くべき伝説の持ち主。彼はアイルランドの小さな君主国、ソルティー・アイランズで育ちます。コナーの父が士官であることから、小さいころから王宮に出入りし、王女イザベラが幼なじみであり、初恋の相手。

コナーは司令官ボンヴィレン卿がニコラス国王を殺し、コナーの家庭教師であるヴィクトル・ヴィニーに罪をかぶせる場面を目撃してしまいます。ボンヴィレン卿はコナーをとらえ、口封じのために監獄リトル・ソルティーに送ります。コナーの家族はコナーは死んだとボンヴィレン卿に思わされたため、コナーを助ける人はいません。

コナーは監獄の暗く湿った場所で、ダイヤモンド鉱山をほる仕事をします。同室はウィンターという盲目の老人。コナーは彼と友人になります。またマラーキーというコワモテの男をこらしめたことから、彼と協力関係を築き、こっそりとダイヤモンドの原石を貯めていきます。

監獄生活も2年経ち、コナーは脱獄の計画をめぐらせていました。房にある小さな穴蔵の天井が発光サンゴでできており、そこに計画を書き案を練ります。イギリスの女王がソルティー・アイランズにくるときに、お祝いの気球花火をリトル・ソルティーから飛ばす企画を、コナーは看守に持ちかけます。コナーはこっそりとその気球を使って脱獄する計画をたてます。果たして計画はうまくいくでしょうか。

本書は海外では「少年版モンテ・クリスト伯」とも評されているようですが、まさに!という内容のお話でした。
モンテ・クリスト伯は復讐に暗く熱い情熱を燃やす男ですが、コナーは賢くたくましくくじけず。人は殺さず、復讐の暗さよりは冒険を主眼とした物語になっています。脱獄のドキドキ、空を飛ぶ痛快さ、個性的な悪役・・・とワクワクする要素がいっぱいの物語です。

挿絵はバンドデシネを中心に活躍している漫画家の高橋光(ひかる)さん。挿絵は吹き出しはないですがマンガ風になっています。小学校高学年以上の男の子におすすめの一冊です。
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